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2009.02.06 (Fri)

「Yes/Noチョコ」

りしゃみや

More・・・

***


 梨沙子からチョコをもらった。もうすぐバレンタインだから、と。お菓子作りの本を見ながら、不器用なりに頑張って手作りしたらしい。
「みや、これねぇ、イエスノーチョコだから」
「は?」
 訊き返す間もなく、梨沙子は「じゃあねっ」と身を翻して帰っていってしまった。

 可愛らしくラッピングされたチョコレートを見つめる。ピンクと白のリボンで包装された透明な袋の中に、大きさも不揃いなトリュフが4つ。よく見ると変な形をしている。
 イエスノーチョコとはどういう意味だろうか。Yes/No枕という代物がある。簡潔に言えば、「今夜はエッチしてもいいよ/だめだよ」という妻(あるいは夫)の意思を伝える枕だ。枕が表ならイエス、裏ならノー。
 ・・・ん?・・・まさかとは思うが、梨沙子は私に愛の告白をしたのだろうか。そして私の答えを、どうにかしてチョコで表してくれということだろうか。もしかしたらチョコの中に何かメッセージが隠されているのかもしれない。

 私は、ラッピングを解いてトリュフを1つ取り出した。やっぱり変な形だ。なんだかゴツゴツしている。トリュフって普通丸いものじゃないの?
 端っこを少しかじる。かじるというより、歯で削ると言ったほうが正しいだろうか。変化はなかった。さらにかじる。何もない。普通のトリュフだ。私は直径3センチほどのトリュフを少しずつ少しずつ、10分かけて食べた。やっぱり何もなかった。
 残りの3つのトリュフも同じだった。梨沙子は一体何を考えているのだろうか。

 次の日、仕事で会った梨沙子に訊ねた。
「ねぇ、昨日のチョコ何だったの?Yes/Noチョコって何?」
 梨沙子はきょとんとして答えた。
「イエスノーチョコじゃなくて、イエスのチョコだよ。イエス様。みや、キリスト知らないの?」
「・・・・・は?」
「ほら、私、魔女に憧れてるから。魔女といえば十字架でしょ。だから十字架の形のトリュフ作ったんだよ」
「へぇー・・・」
 あのゴツゴツした形は十字架を模していたのか。
「で、十字架といえばイエス・キリストでしょ。だからイエスのチョコ」

 梨沙子の思考回路は相変わらずよく分からない。イエスのチョコと言われたところで、普通の人が理解できるわけがない。
 そしてトリュフはおいしかった。さて、ホワイトデーは何を返そうか。
21:53  |  小説
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