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2009.02.13 (Fri)

「物々交換」

桃子

More・・・

***


 桃子は貧乏だった。同級生の間でシール交換が流行ったときも、自分ではシールを買わずに、他の人から貰ったシールを使い回す。そのために、桃子はどれが誰から貰ったシールなのかを正確に把握していた。桃子は勉強はできなかったが、そういうことに関しては凄まじい記憶力が働くのだ。
 しかし、その手も長くは続かない。回り回ってついに手持ちのシールを交換に使えなくなってしまった。新たにシールを買うお金もない。完全に手詰まりだ。桃子は言った。
「もも、今日は家にシール忘れちゃったんだぁー。明日持ってくるね」
 桃子は諦めなかった。帰宅し、何か使えるものはないかと家中を探し回る。そんな桃子の目に留まったのは、市販のバナナに貼り付けられている丸いシールだった。

 翌日、桃子は学校に着くと、真っ先に梨沙子の元へ向かった。頭の悪い梨沙子なら、これがバナナのシールだとは気づかないだろう。
 桃子の計算通り、梨沙子は何も気づかずにシールを交換した。桃子は早々にバナナのシールをさばき、まんまと梨沙子から可愛い普通のシールをせしめたのである。
 その後、梨沙子がふざけてバナナシールを雅の顎に貼り付けたことで、2人の仲が一時期険悪にもなったのだが、その話はまた別の機会に。

 桃子はこれに味をしめた。新しいシールなんか買わなくても、バナナのシールを使えばタダで(梨沙子から)可愛いシールを手に入れることができるのではないか。桃子は家に帰って母親に言った。
「お母さん、ももねぇ、バナナ大好き! 今日も買ってきてよぉ」
 母は答えた。
「何言ってんの、昨日のバナナがまだ残ってるじゃない。それにバナナなんて高いもの、うちじゃそんな頻繁に買えないよ」
 そう、嗣永家ではバナナなど滅多に買えない高級品だったのである。
 桃子は落ち込んだ。明日のシール交換、どうしよう・・・。「もうシール持ってないの」と正直に言うべきだろうか。・・・いや、だめだ。桃子は思い直す。そんなことを言ったら、みんなに貧乏だとバカにされてしまう。
 桃子は覚悟を決めた。

 後日、スーパーのバナナ売り場で、シールだけを剥がしまくって懐に入れている桃子の姿が目撃された。
00:31  |  小説
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