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2009.02.13 (Fri)

「友達になってやる」

れなみつ

More・・・

***


 田中さんには友達がいなかった。
 グループの中でも浮いた存在で。私が加入したばかりの頃、モーニング娘。は9人体制だった。高橋さんと新垣さん、亀井さんと道重さんは昔から凄く仲が良い。久住さんは特別仲がいいメンバーはいなかったけど、誰に対しても馴れ馴れしく接することができる人だった。田中さんはそれもできずに、いつも1人ぼっち。ときどき吉澤さんが気にかけていたけど、吉澤さんにはいつも藤本さんがべったりくっついていた。
 年が近いという理由で、初め私は久住さんと少しだけ仲良くなった。女の子の集団というのは、自然と2人ずつに分かれてしまうものだ。吉澤藤本、高橋新垣、亀井道重、久住光井。田中さんはいつも1人だった。

 そんな田中さんを可哀相に思い、私は気を遣ってなるべく彼女に話しかけるようにした。田中さんから話しかけられれば、できるだけ愛想よく応えた。先輩だから無視できないというのもあるが、目を輝かせて私と会話する田中さんを見ていると、なんだか可愛らしく思えてしまう。

「愛佳愛佳、明日れいなの家に来ん?」
「えぇー!?」
「何か問題でもあると?」
「いや・・・えーと、いいんですかぁ?」
「パーティーするっちゃけん、絶対来てね」
「・・・何のパーティーですか?」
「れいなと愛佳が仲良くなった記念のパーティー!」
「はぁ・・・」
「だから愛佳は絶対来んといけん」
「・・・ちなみに、他には誰が来るんでしょうか?」
「え? れいなと愛佳2人っきりに決まっとう」

 相当なつかれてしまったようだ。正直言って、自宅にまでお邪魔するのは気が引ける・・・というか憂鬱だ・・・。しかも2人きりって。もしかして私は、田中さんの親友候補なのか。さすがにそれはちょっと。
「すみません、明日はちょっと他の用事が」
「じゃあいつなら暇なん? れいな、愛佳の予定に合わせるけん!」
 田中さんの目がキラキラしている。遠回しに断られたことに全く気づいていないようだ。こりゃ当分逃げられそうにないな。
「・・・えっと、すみません、やっぱり明日暇です」
 面倒なことは早めに済ませておこう。

 田中さんはぱぁっと顔を輝かせて、れいな頑張ってパーティーの準備するったい!とか何とか言って、スキップしながら帰っていった。
 そんな田中さんを見て、素直に可愛いなぁと思う。彼女にはお世辞や社交辞令は通じない。私は今まで、まさにお世辞や社交辞令にまみれて生きてきた。体裁や他人の目ばかりを気にする自分がときどき嫌になる。こんな薄汚れた芸能界で、どこまでも単純で正直に生きていける彼女が羨ましいとさえ思う。
 家に遊びに行けば、きっと田中さんの家族にも「れいなのお友達」として認識されるのだろう。それはそれでいいような気がしてきた。私と田中さん、足して2で割れば丁度よくなるのかな。友達「候補」くらいになら、なってあげてもいいかもしれない。
11:44  |  小説
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