03月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫05月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告

2009.03.12 (Thu)

「眩暈」

あやみき

More・・・

***



 初めて亜弥ちゃんに出会ったのは半年前だった。都市社会学の講義で、偶然隣に座った可愛い女の子。色白で小顔で綺麗な茶色の目をした彼女に、美貴は一瞬で心を奪われた。でも、最初に話しかけてきたのは亜弥ちゃんのほうだ。
「すみません、あの・・・黒板見えますか?」
「え? はぁ、見えますけど」
「黒板の左上の2行目、何て書いてあります? 私ちょっと今日メガネ忘れちゃって、よく見えなくて」
 そう言って照れ笑いをする彼女は、それこそもう犯罪的に可愛くて。世界がひっくり返ったかと思った。恋に落ちるってこういうことなんだ、と美貴は初めて知った。
 それ以来、大学のキャンパス内で偶然亜弥ちゃんに遭遇することがよくあった。教室、廊下、図書館、売店、女子トイレ。もうこれ運命なんじゃない? そして美貴たちはすぐに仲良くなった。彼女に会う機会が多くなればなるほど、美貴は彼女に魅かれていった。
 亜弥ちゃんはよく笑う朗らかな子で、外見に似合わず頭が良くて、友達も多いし男にもモテる。亜弥ちゃんが誰かに告白されたと聞くたび、美貴はハラハラした。

 美貴たち2人は仲良しだ。今朝も美貴は、亜弥ちゃんの自宅まで彼女を迎えに行く。美貴が家の前で待っていると、少し遅れて亜弥ちゃんが玄関から出てくる。亜弥ちゃんは今日も最高に可愛い。美貴たちは大学まで一緒に歩いていく。
 それぞれの授業が終わって、大学から帰る時も一緒。何度も言うようだけど、亜弥ちゃんはとにかく可愛い。あんな可愛い子を1人で歩かせたら、家に帰る途中で痴漢とかに襲われちゃうかもしれない。美貴は心配で心配でたまらなくて、いつも亜弥ちゃんを家まで送っている。亜弥ちゃんが家の中に入ったのを見届けて、美貴はやっと安心する。
 自分の家に着いたら、すぐに亜弥ちゃんに電話をかける。1分1秒でも早く、長く、亜弥ちゃんの可愛い声を聞いていたい。あんまり電話しすぎると迷惑かな、とも思うけど、美貴は我慢できないのだ。亜弥ちゃんと常に繋がっていないと、居ても立ってもいられない。

 美貴と亜弥ちゃんは友達だ。そして美貴はどうやらレズビアンのようだけど、おそらく亜弥ちゃんは違う。だから、美貴の気持ちを打ち明けることはできない。
 告白してこの関係が壊れるくらいなら、美貴は一生気持ちを隠し通すつもりだ。亜弥ちゃんとはずっと友達のままでいたいから。

 今日も美貴と亜弥ちゃんは一緒に帰宅している。春になって日が長くなったとはいえ、18時を過ぎると辺りはもう暗い。可愛い亜弥ちゃんが不審者に襲われないように、美貴が守ってあげるんだ。
 亜弥ちゃんは、何やら周囲を警戒しているようだった。さっきから何かに怯えているように、周りをきょろきょろと見回している。
 どうしたの、亜弥ちゃん。美貴は心配だよ。不安なことがあるなら何でも言って。美貴が守ってあげるから。
 亜弥ちゃんが早足になる。美貴もそれに合わせて早足になる。
 亜弥ちゃん、待ってよ。・・・なんで? なんで逃げるの? 美貴は亜弥ちゃんの親友でしょ? ちょっと待っ・・・

「あなた誰っ!?」
 亜弥ちゃんが振り向いて叫んだ。
 勢い余って物陰から飛び出した美貴は、隠れることもできずに立ちすくむ。

「・・・・・・・」
「ここ何ヶ月か、いつもいつも私のこと尾行してたの、あなたでしょ」
「・・・・・・・」
「毎日うちに無言電話かけてくるのも」
「・・・・・亜弥ちゃん」
「いい加減にしてよ! 気持ち悪い!」
「ねぇ、美貴の話を聞いて」
「つーか誰だよ。2度と私の前に現れないで」
「亜弥ちゃん」
「マジで通報するから」
「亜弥ちゃん亜弥ちゃん亜弥ちゃん亜弥ちゃん亜弥ちゃん」
「やだぁぁぁぁぁぁ!!!」

 亜弥ちゃんは半泣きで駆け出していった。
 泣き顔、初めて見た。可愛い。やっぱり亜弥ちゃんは世界一可愛い。だから心配でたまらないの。これからも美貴が守ってあげるからね。安心して、亜弥ちゃん。
03:41  |  小説
 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。